◆テクニックに『溺れる』ことの危険。

バトルモードが普及してからというもの、プリーストの支援には様々な『テクニック』が考案されています。
それは技術の高い支援プリーストさんたちの間で考え出され、時にはいくつも組み合わさって、磨かれてきました。
そんな先輩方の、特に『動画』をみて、憧れをもって『テクニック』の練習をしたプリーストさんたちも多い筈です。
実際わたしもその内のひとりで、先輩方の支援を見ては自分の支援にとりいれよう、と頑張ってきました。

ただ、このサイト内で何度も書いてあるように、わたしは運動音痴のプリーストです。
わたしが先輩方の扱う『テクニック』をすべて取り入れようとするのは、正直に言って、背伸びがありました。
その背伸びがいずれ“正しい”技術として身につくのなら、背伸びもかまわないのかもしれません。

それでも、ある程度その『テクニック』を扱えるようになったあと、もう1度考えてほしいことがあります。

その『テクニック』を扱うことで、全体的な支援の、『何が』『どのくらい』良くなるんでしょうか?
扱えるには扱える……でも、他の支援に『テクニック』を取り入れたことによる負担はかかっていないのでしょうか?

どんなことでも、度を過ぎてしまえば害になります。
有用な『テクニック』を、支援の害としてしまわないよう、その利点と自身に掛かる負担をきちんと考えていきましょう。


◆前を歩く支援ハイプリーストの、フェン付け替え。

まずは基本のフェン付け替えから、考えてみます。
フェンの詠唱増加ペナルティはとても大きく、たとえDexカンストしていても煩わしいものですよね。

キリエ常時掛けられるような転生前プリースト時代や低DexのVit型なら、フェン着脱のタイミングは比較的容易なので、
その際のフェン付け替えはともかくとして、問題は『前を歩く(トレインする)ハイプリーストのフェン付け替え』です。

よく上手な支援プリーストさんが支援している姿をみると、キリエのトレイン中は防御アクセ(ヨヨ/SR/etc)などに、
トレイン終了、アスム詠唱と同時にフェンへ。 そのあともヒールで耐えるなら防御アクセへ、SWならフェンへ……と、
とても忙しく付け替えているのがわかります。

防御アクセの『Def+3』や『完全回避+5』は確かに優秀な効果で、それだけの効果をステータスや装備で補おうとすると、
大きな資金やステータスの増強をしなくてはいけなくなるため、考えとしてはとても頷けるものですよね。
ただし、これを行っている支援さんは、ヒールのディレイをしっかり数えながら&急な横沸きへSW出来るよう備えながら、
『他の支援の水準』を落とさないまま、フェンの着脱を行っています。 これを見落としてしまうと、大変です。

防御アクセの性能がいくら良いといっても、ヒールの間隔がきっちり1秒毎でなくなったり、SWが一瞬遅れたり、
それを補えるほど高性能というわけではありません。 そして何より、防御アクセで減らせるのは『自分のダメージ』だけ。
HPの低いPTMを守るためには、SWの座標に留まってもらうためには、0.1秒でも早いSWが求められます。
極端な言い方をするなら『フェン常時』にすることで、より広く早い状況判断をできるなら……より良いのはどちらでしょうか。

もちろん、極まった状態においては『フェン付け替え』の防御まで使う必要があるかもしれません。
支援スキルで例えるならIMのようなものでしょうか。 本当に扱えるなら、その効果の程もしっかり把握しておきましょう。

(※誤解を防ぐために重ねて書いておくと、『後方支援時のフェン着脱』などに上記のお話は当てはまりません。)


◆種族盾&外套の持ち替えについて。

種族盾はダメージを30%もカットする、とても優秀なものなので、上記の『フェン付け替え』とは少し事情が違いますよね。
効果が大きいので、多少の負担をかけても覚えたい技術だと思いますし、そのことに関しては“練習”をお勧めします。
ひとつだけ気をつけたいのは、『1体からきちんと付け替える必要はない』ということでしょうか。

もちろん1体で危なくなるような強いモンスターは別として、たとえば古城で前を歩けるプリーストが、
『レイド1体来たから人盾に……』なんてしていても、ほとんど意味がありません(笑)。
トレイン後にサンクやSWを展開する間に、のんびり「どの種族が多く見えるかな」と考えても構いませんし、
一部の“本部屋”などの特別な場所に備えて、あらかじめ盾を変えておくだけでも効果があります。
また、結局はSW連打で片付けてしまえる(大きなMHほど、この傾向が強いですよね。)ので、わたしはそちらに神経を使います。
種族盾の付け替えは優秀ですけど、危険なMHになればなるだけ、種族混成なのでSWや回復剤といった基本手段を大切に。

次は『Dex型Agi支援』にも所縁のある『イミュン&モッキング』の付け替えについてです。
ある意味Agiをサブステータスにする支援さんには定番なのですが、これがなかなかリスキーな付け替えです。
転生前はトレイン後の選択肢が少ないため、わたしも毎回のようにこの付け替えを行なっていたのですが、転生後の今はしていません。
Agi支援さんなら『Flee+20』の意味がどれほどが、よく実感していらっしゃると思いますし、わたしもその優秀さは充分知っています。
それでも、転生後の『KE-Asm』やSWによる防御を使うようになってから、わたしはあえて『イミュン固定』をしました。

というのも、キリエによるトレインは思った以上に判断力を問われるもので、場合によっては『KE-SW-Asm』の流れもとります。
残りのキリエ耐久力とモンスターの速さを計算して、アスムの詠唱か、SWの前置きか……これに意識を集中したいと思いました。
そして、何よりキリエとFleeは『上手な移動の補助役』です。 Fleeを活かしてトレインしても、Fleeが必須ではありませんからね。

わざとトレイン中に交差して攻撃をさせ、トレインをコンパクトにする方法もあるけれど……。
それをする相手なら、別にイミュンでも回避できないモンスターではないと思います。
最終的な目的はモンスターを抱えて耐えるところにあるので、外套の付け替えをするならその後のフォローもしっかりしましょう。
モッキングで回避できない数を抱えたら、『ダメージ20%増』と同じことになってしまいます。

(※属性服の持ち替えは……必要とされる狩場(アビス/タナ上層/etc)で出来ないと、やられてしまうので触れません(笑)。)


◆クロックcの『ガーディアン服』、オートガードについて。

Text03『装備考察』にも少し書いた、このガーディアン服=オートガードの使用ですが……これが意外と難しかったり。
効果は『持続時間:5分 発動率:14%』と優秀なのですが、その裏にいろいろな落とし穴があるので注意が必要です。

まずは『0.3秒の硬直』により起こりやすくなる『座標ずれ』。
キリエ中はAG発動しないといっても、不意の事故で硬直すれば、SWやサンクが難しくなるのは当然ですよね。
1度硬直すれば、次々追いつかれ叩かれ余計に硬直してしまうので、工夫もなしにAG発動後も移動するのはとても大変です。

そして、『AG発動までガーディアン服で叩かれる必要がある』のも、ある意味危険な行動だと思います。
属性攻撃の緩い(=無属性服で通用する)狩場ならともかく、属性攻撃のつらい狩場で無理にAGを発動させようとすると、
大ダメージを受けていたい思いをしたり、発動後の付け替えに気を取られて、支援がおろそかになったりするかもしれません。

やっとAGが発動したとしても、AGの防御力に任せてサンクやSWの判断を鈍らせていると危険ですし、
効果時間が長いといっても『5分』。 最短発動でも1時間で12回、ガーディアン服で狩りをしなくてはいけません。
……どれも『操作をするプレイヤー側』が注意すれば済む問題ですけれど、意外と多い事柄と思うので気をつけたいですね。


◆リカバリーによるターゲットカット。

ここからは『スキルの運用』についての注意事項です。 まずはテクニックの定番『リカバリーカット』から。
Wizさん等を狙うレイドリックをリカバリーで取り返す……あれって、はじめて見た時はなんだか格好いいですよね(笑)。
仕組みは、リカバリーによって『敵のターゲット対象を一度リセットする』ので、支援側に流れてくる可能性があるとのこと。

でもでも。 試したことのある人ならすぐにわかる事だけど、あれって『リセットされても誰を狙うかはランダム』なんですよね。
まだ守りたい人とモンスターの間に距離があるなら、タイミング次第でHLを撃てばいいことですし、
もうくっついてしまっているなら、杖で叩けばそれだけでターゲットを取り返せます。

どうしても移動できない、でもターゲットを取り返したいなら、きちんと『HL→リカバリー』の連携をして、
確実にターゲットを取り返しましょう。 リカバリーだけを運任せに唱えて、ターゲットを取れなかったら2秒の無駄ディレイです。
それが出来ないなら、無理にリカバリーを狙わないでキリエやヒール、可能ならSWを張ったほうが支援としては正解でしょうか。
あくまでリカバリーは『事前のHLとセット』、そして『他の手段が叶わない場合の奥の手』だと思っておきましょう。


◆『通常攻撃にLA』を無条件に嫌う。

多くの支援考察サイトでは、『通常攻撃にLA(以下:通常LA)』を落とすことはタブーとして扱われています。
確かにスキル攻撃にLAを合わせることに比べれば、『通常LA』の効果は極めて低いといえるでしょう。
そして、そんな『通常LA』を撃つ時間があるのなら、HLによる火力支援をした方がよほど高い累計ダメージを与えられます。

……ですが、これはあくまでHLに威力のある『Int型』の場合です。 では、HLに威力がない場合はどうでしょうか。
LAには3秒のディレイがあるため、多くの支援さんはこの“3秒のディレイ”を嫌い、
待機を勧めていますけれど……それがわたしには、とても大きな疑問になっています。

そもそも火力職側(Agi騎士/アサシン/etc)に、『初撃LA』をあわせて貰えない事情があるからこそ、
『通常LA』をする余裕が生まれます。 勿論そのとき、IMやグロリア、可能な限りの支援が掛けてあることは基本ですね(笑)。
それでは、一体どこに“3秒のディレイ”を嫌う理由があるのでしょうか。 通常攻撃=パッシブ職=単体処理でしょうし、
『初撃LA』を狙わないのなら、横沸きや追加に備えてディレイをなくしておく必要もないですよね。
少なくとも、わざわざ待機して何もしないほうがいい……という状況は、わたしはありえないと思っています。
横沸きしただけで、もしくは何かのスキルを受けただけで事故要素のある狩場なら、はじめから火力支援の状況ではないですしね。

通常攻撃主体の相手に、IMを掛ける意味があるというなら、攻撃回数を1回減らす『通常LA』も充分選択肢に入るでしょう。
HLを使わないならインベナムで毒にするのも良い方法ですが、場合によっては『通常LA』以下の効果である場合もありますし、
『いま出来る支援』のなかで最も『通常LA』が効果が高い、となった場合には『通常LA』をどんどん落としても構わないでしょう。

支援さんのなかには“通常攻撃にLAをするのがはずかしい”というような思いのある方も、いらっしゃるかもしれませんが、
しっかり『その場の状況を判断した結果』なら、たとえ一般にマイナスとされている行動もとる必要があると、わたしは考えています。
その場で支援をしているのは自分自身なので、一般論が崩れる場面もなかにはあるということを、いつも意識することが大切です。

自分がペアをしている相手は、その“通常攻撃1回くらい”の時間を短縮するために、
スピードポーションを飲み、武器の過剰精錬をしているかもしれないのですから、支援も最短を目指すのは当然のことですよね。

(※もっとも「その為にもHLが通るIntにするべき」なんて言われてしまうと、どうしようもないのですけど(笑)。)


◆稿のおわりに。

この稿を書くのは、わたし自身とっても勇気の要ることでした。
『テクニック』に溺れないように注意を促す稿というのは、読み手の解釈によって、
『テクニック』の活用を否定しているという“誤解”を招いてしまう稿に、仕上がる不安があったからです。

フェンの付け替えも、防具の付け替えも、完璧に扱えるのならそれより良いことはありません。
はじめは支援がぎこちなくなってしまっても、1週間、1ヶ月……がんばって練習すれば身につくものも沢山あります。

ただ、この例えはあまりに極端かもしれませんが『盾、肩、服、フェンの付け替え』を同時に扱うような狩りをすれば、
支援をしているわたしたちはロボットではないので、かならずその負担がどこかで響いていてしまうものです。
自分自身は自然に支援しているつもりでも、基本支援の判断がすこしずつ鈍ってしまっているかもしれません。

特に防具に関する付け替えなどは、SWでごまかせる事の多い分野ですし、SWのような重要スキルの判断を鈍らせるなら、
せっかく有用な『テクニック』を扱おうとしても、本末転倒になってしまいますよね。

だとしたら、まずはひとつの『テクニック』をしっかりと覚えて、加えて、複数扱えるようになってからも、
“その狩りに効果的な方法”を選択できることが何より賢い『テクニック』との付き合い方ではないでしょうか。

……と、そうは言ってもっ!(笑) 結局、練習を重ねていかなければ上手になるものも、上手になりませんし、
今より上手になる気持ちがないと、支援の限界を勝手に決めてしまうことになる……とも思うので、本当に難しい問題です。
いつもほんの少し背伸びしながらも、『テクニック』に溺れないように気をつける、個人個人の意識が大切なのかもしれません。

諦めすぎても、求めすぎてもいけないって、どんなことにも言えますよね(笑)。


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