◆『Fleeの防御力』を把握すること。

「Agi支援でも、充分耐えられます」。 臨時などの初対面でわたしがそう言うと、不安そうな顔をする人が少なくありません。
最大HP&回復剤の効力が増えて、スタンなどの耐性も付く『Vit』。 ヒール量が増えることで、被ダメージ緩和に繋がる『Int』。
それに比べてAgiこと『Flee』は、いつも確率という不安定なものに左右され、囲まれ減少という明らかな欠点まで持ち合わせています。

モンスターを安全に抱えることも、プリーストのお仕事のひとつ。
そこへそんな特性を持つ『Flee』を持ち出されたら、心配をしてしまうのはとっても自然なことですよね。
それどころか、Agi支援であるわたしたちでさえ、『Flee』に踊らされてしまった経験は少なくないと思います。

『Agi支援の防御力』を他の方に伝えづらい原因を作っている『Flee』は、実際どのような働きをして、役に立っているんでしょうか。
この稿では、その働きの理解と、確率に振り回されないための工夫を紹介していきます。


◆Fleeの基本:『イミュン外套』と『モッキング外套』の被ダメージ期待値。

本題に入るまえに、Fleeの基本について少しお話をしておきます。 題材は『イミュン&モッキングの被ダメージ』比較です。
ここは支援プリーストの考察サイトなので、『Flee』に親しい方ばかりが読んで下さっているとも限らないですからね(笑)。

まず、レイドリックの攻撃を“イミュン外套で90%避けられるアサシンさん”が居たとします。
レイドリックのAtkは830-930なので、計算の都合上900に固定して、100回叩かれたときの被ダメージを比較しました。
この計算、単純に考えてしまうと回避率の上限は95%なので、『モッキング』では回避率5%しか上昇を見込めません。
それなら被ダメージを20%カットできる『イミュン』の方が効果的に働く……そんなイメージを受けてしまいがちですよね。
ところが、結果は以下の通りです。

≪イミュン外套被ダメージ期待値 = 7200 / モッキング外套被ダメージ期待値 = 4500≫

これはいわゆる“ひっかけ問題”で、Agi職さんのソロ狩りなどでは割と一般的なお話……だと思います。
『被弾10%が5%になる』ということは被弾率が半分、『ダメージカット率50%』と等しいというお話ですね。

また、同じ条件で『イミュン装備で回避率5%(モッキングで回避25%)』の場合も、面白い結果が出てきます。

≪イミュン外套被ダメージ期待値 = 68400 / モッキング外套被ダメージ期待値 = 67500≫

最低保障回避(5%)しか出来ない状況でも、モッキング外套で“回避率が20増えるなら”イミュン外套より効果があるようです。
どうしてこのような事が起きるかというと『回避した時はダメージを受けない=回避した分だけイミュンの恩恵が薄れる』からで、
どんな状況でも5%回避してしまうシステム上、モッキング外套で回避率が20あがってしまう状況では、
イミュン外套が数値上で有利になることは絶対にありません。 モンスターが属性攻撃を仕掛けてくる実際の状況なら、尚更ですね。


◆『囲まれ減少』と『揺らぎ』の矛盾。

一見すると、上記の事柄から『Flee』のダメージ緩和率とFlee外套(及び、回避)の有効性が実証されたように思えます。
『Flee』によって軽減されるダメージ量は、『Vit』の減算Defは言うまでもなく、装備の除算Defとも比較できる優秀なものでした。
……だけれど、一般的に『Agi』は耐久力の低いステータスとされていますし、Agi支援のわたしもイミュン外套を装備しています。

この矛盾には、大きく分けて2つの理由があります。 そのひとつ目の理由が『囲まれ減少』。
これは回避が“どんな大ダメージも無効化する”という万能すぎる防御力を持っているからこそ用意された、ペナルティです。
転生前プリーストはまだしも、転生後ハイプリーストになれば10体以上のモンスターを抱えることも珍しくない環境のなかで、
『囲まれ減少』がある以上、回避やモッキング外套がどれほど優秀なダメージ緩和率をもっていても、それを活かすことが出来ません。

そして、もうひとつの重要な理由が『ダメージ量の揺らぎ』です。
プリーストがMHを耐えるにあたっていちばん大切なこと……当然のことだけれど、それは“HPをゼロにしない”ことです。
上記の『被ダメージ期待値検証』はあくまでも期待値、10回叩かれるうち、最後の2回を回避して期待値を低くできたとしても、
8回叩かれるまでは“Fleeの恩恵”を何も受けられないのと同じことになってしまいます。
たとえ50%の確率で回避できるモンスター相手でも、2連続で属性攻撃を受けることも充分にあるということですね。
つまりAgi支援としては、いつでも『避けられないこと』を考えながらモンスターの攻撃に耐える必要があります。
『Agi支援なのに、避けることを期待できない』という状況自体に大きな無理を感じていただけたら、嬉しいです。


◆『揺らぎ』を抑えるために。

上記の段落で、『Flee』のデメリットは嫌というほど解説しました。
……でも。 本当にそのデメリットに潰されてしまうだけなら、Agi支援としてこんな考察を書く意味もないですよね(笑)。
それでは、どうすれば『Flee』の特性を活かして支援に役立てることができるのでしょうか。

『Fleeは活かせる』といっても、上記の段落にも嘘はありません。 『揺らぎ』の存在は、どうしてもこわいですよね。
なので、基本となる最大HPの為の『Vit』や、被ダメージを緩和するための『Int/Dex』は必要不可欠だと思っています。
(※Int>Agi型にも型なりの立ち回りがある筈だけれど、今回は一般的な支援が抱える“多数”に対してお話していきます。)

Agiの欠点である『揺らぎ』も、最大HPという大きな器があれば対策することができるでしょう。
たとえば、わかりやすい強打の例としてエキオを取り上げます。 以下は『3回の強打を1回以上避ける確率』になります。

基本回避率   強打回避率

10%       27.1%
20%       48.8%
30%       65.7%
40%       78.4%
50%       87.5%
60%       93.6%
70%       97.3%

エキオは要求Flee203。 中程度しかAgiを振らない(=Dex/Vitを補強した)ステータスでも、60-70%は簡単でしょう。
避けられることを過信しないといっても、回数を重ねたうちの期待であれば、充分信用できる数値を保つことができています。
そして、これは強打以外のことでもいえることですので、たとえ囲まれて10%の回避しか残らなくても、
『攻撃を受け切ってもやられない』のであれば、ダメージ緩和効果を期待することができます。
(※回避10%でも、5%のダメージ回避=ヨーヨーアクセ1つ分のような効能がありますし、これが意外と響く場面も。)

転生前Agiプリーストへ特に言えることですが、Agiがあると『キリエエレイソン』のバリア耐久力が長続きすることにも、
回数を重ねた時の期待値……最大HPで『揺らぎ』を抑えるのと同じ原理が働いています。
最大HPやキリエといった受け皿をきちんと備えることで、Fleeは『揺らぎ』の幅を抑えて、立派な防御ステータスになるでしょう。
キリエが破れるまでの時間は、Fleeがあっても極端にばらつかないので(高Atkを除く)、いろいろな意味で相性のいいスキルですよね。

それでも『揺らぎ』の幅を抑えられなかったり、回避できない数の群れを抱えることになった場合は、SWに頼ることになります。
とはいえ、SWにいちばん大切なものは座標。 この座標をとるための段階において、『Flee』は何よりも役に立ちます。
最大HPで一般的な支援さんに劣らないものを確保しているなら、回復剤の効果量もそこまで大きく劣ることはないと思います。
これだけのMH対策が講じられていれば、もうステータスの面で『防御力』の面で不安を感じることはありませんよね。


◆『少数』への立ち回り。

ついこの間まで、少数を抱えることは“どうにでもなる”という考え方をされていて、特に問題となりませんでした。
それが最近では、オーディン神殿のようかんやトール火山のガーディアンのように、少数でも苦しいモンスターが登場していますよね。
このようなモンスターと戦うときも、Fleeの舞台。 『囲まれ減少』の制限をなくして、思いっきり活躍することができますっ(笑)。
これらのモンスターはもちろん要求Fleeも高いので、場合によってはQMなどの補助を必要とする場合がありますが、
トール火山における高Flee職さんの活躍に裏づけされるように、『Vit前衛さんでも苦しい少数』には『揺らぎ』の欠点も覆ります。
(※わたしに身近な例では、ハイドラの取り巻きを分離したときなど、囲まれ数が少ないのでダメージ緩和を実感しています。)

その他にも、対少数では被ダメージが少ないことを活用して、前衛さんから積極的にターゲットを預かったり、
ヒールの手間を減らして火力支援(=LAなど)をする……などなど、少数には少数の活かし方があるので、それも嬉しいところです。

そして補足のようになってしまいますが、『トレイン』も接触するのは少数ということで、Fleeを活かせます。
30%の回避ができるだけでも面白いくらいトレインが楽になるので、綺麗に群れをまとめることも得意になります。
Fleeに実感のない方でも、回避率を完全回避に置き換えて考えてみてもらえたら、トレインへの有利を納得して頂けると思います(笑)。


◆稿のおわりに。

『Flee』はダメージ緩和に関して、とても優秀な効果をもつステータスです。 ……けれど、それに見合った欠点も抱えています。
確率が絡んでしまうので『ステータスへの理解』も難しくなってしまうけど、それだけで駄目と決めてしまったら……勿体ないこと。
“Fleeは防御に使えないステータス”なんて、誤解だと思います。 ただ、それを活躍させるまでの土台作りが難しいだけなんです。

他のステータスが充実してはじめて『Flee』が活きるというお話は、わたしが『Dex型Agi支援』をお勧めしている理由とも繋がります。
『Flee』の効果は独特で、だけど、だから他のステータス型にできない支援をすることができるのではないでしょうか。
伝えるのが難しい題材だから、未熟な稿かもしれないけれど……これで少しでも『Fleeの防御力』がアピールできていれば何よりです。

わたしも『Flee』の気まぐれに振り回されないように、これからももっと『Flee』への理解を深めていきたいと思っています(笑)。



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